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2.転職市場動向
経理・財務・人事・総務・法務…etc 事務系スペシャリストの転職市場動向2007-2008

2006年、経理、人事、法務などの事務系スペシャリストの求人は増加傾向にあったようだが、2007年はどうだったのか。そして今年はどうなるのか。事務系職種に特化した人材バンクのコンサルタントに市場動向を聞いた。


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全体的に増加傾向

 
───2007年の経理、財務、人事、総務などを含めた事務系スペシャリスト職の
転職市場はどのような状況でしたか?
手塚

全体的に、求人数は増加傾向にありました。ここ1〜2年は完全に売り手市場といっていいでしょう。景気回復、企業の業績向上を背景に、現在の募集は欠員補充より増員求人が多い傾向です。特に20代の若手は増員が多いです。

───求人の傾向で何か特徴的な点はありますか?
手塚

現場の感覚として強いのは、企業側の姿勢が変わりつつあることです。人材を簡単には採用できない現状を認識した上で人事が動こうとしているような気がします。最も簡単な例では条件面を少しでもよくするといったことが挙げられます。しかし、ベンチャー企業は少しでも給料を高くするということができますが、大手企業の場合は給料体系は変えられないので、少しでも早く面接できるように調整したり、面接以外の場で人事担当者との面談を設けてアピールの機会を作るといった手法を取る企業、また、我々人材バンクが紹介した人は即面接を行うといった企業が増えています。

───採用のハードルも下がってきているのでしょうか?
手塚

20代の若手に関しては多少ハードルが下がっている傾向にあります。しかし、30代以上の即戦力の層は、昨年と同じで平均以上の経験、スキルをもつ人材に求人や内定が集中しつつあります。



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経理職がダントツ

 
───特に求人数が多い職種は?
手塚

経理職がダントツです。理由はいくつかありますが、特に上場企業の経理の基準が2006年から厳格化されたことが大きいですね。今年4月から全上場企業に適用されるJ-SOX法(金融商品取引法)の影響で「内部統制」の必要性が高まり、特に投資家に対して適切に決算・財務状況を開示しようという意識が高まっています。2〜3年ほど前のIPOブームで、内部統制がしっかりできる体制が整いきっていない状態で上場してしまった企業は特に経理・財務職のスペシャリストを欲しています。



イラスト
人事は採用系がニーズ高し

 
手塚

次にニーズが多いのは人事系です。現在は採用難なので、企業内のマンパワーを採用業務に多く割かざるをえないのです。新卒の採用に関しても、ここ最近は時期が早まっており、内定辞退者数も多いので、あらかじめ多めに内定を出しておかねばなりません。そうすると現状の人事の人数ではとても足りないというわけです。

───人事制度の構築等に関するニーズはどうでしょう?
手塚

特別に高まっているわけではありませんが、業界再編による企業のM&Aが増えているので、合併する際の人事制度のすり合わせができる人のニーズが意外と高いです。M&Aを行うのは急成長している会社が多いのですが、もっとも業務として追いついていないのが人事制度なんです。こういった会社に転職を希望する場合、30〜40代の人事制度系に強いマネージャークラスが有利ですね。制度系を経験しているかどうかは30代半ばからは大きな分かれ目となります。

───労務に関してはいかがでしょうか?
手塚

20代の若手スタッフのニーズは高いですね。労務は事務処理作業が多く、そこで多くのマンパワーを必要とする企業が多いからです。若手スタッフはひとつ秀でた部分があれば転職しやすいと言えるでしょう。ただし、年齢が上がるにつれて人事系の全般的な経験や能力を求められるので、労務だけの単一能力では30〜40代の転職は難しいでしょう。



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経営企画もひっぱりだこ

 
───経営企画のニーズはどうですか?
手塚

こちらも引き続き高くて、特に株式公開を考えている企業が「株式公開準備室長」として募集をかける傾向が強いです。ニーズが集中するのは35歳前後で少しでも経営企画に携わった経験がある人ですね。

しかし、経営企画の仕事は企業によってまちまちで、ある企業では管理会計に近い形で、社内の数値を管理して業績予測をしたり、事業計画を立てたりします。またある会社では、マーケティングに近い仕事だったり、新規事業の開発をしたり、新しく作った会社や部署の仕組みを作ったり、場合によっては営業的な戦略を練ったり、かなり広範囲に及びます。特に企業が重視するのは数値を読む力です。利益やコストの感覚がしっかり身に付いているかが大切ですね。

ですから経理やマーケティングなど、特定の部門で基礎を固めて30代前半くらいから経営企画の経験がある人がかなり高く評価されます。若手の場合は、経理や管理会計、財務の経験があることがひとつの基準でしょうか。



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資格がなくても就職・転職しやすくなっている法務

 
───法務系はどうでしょう? 一時期急激にニーズが高まったと聞きましたが。
手塚

2007年9月から金融商品取引法が施行された影響もあり、特に金融系ではコンプライアンスのニーズが高まっています。それに加えて、元々法務系は転職希望者・求職者の数が少ない。だから最近では、人柄が良くて基本的なコミュニケーション能力があり、新しい司法試験の制度を取り入れた法科大学院でしっかり勉強した人であれば採用したいと企業側が判断し始めているようです。実際に、以前なら大学を出て司法試験に挑戦して、受かれば弁護士、落ちれば無職でそのまま5〜6年勉強ばかり…という状況だったのが、司法試験に受からなくても法務職として採用となるケースが増えています。求職者側からすれば就職・転職しやすい状況になっているといえるでしょうね。

───総務はどうですか?
手塚

求人数そのものは横ばいか微増というところでしょう。一般的な総務の経験に加え、株式関連、商事法務を経験している人のニーズが高いです。



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特に金融業界の求人が増加

 
───特に求人ニーズが伸びている業界は?
手塚

最も人材を欲しているのは金融業界です。背景には業績の向上が挙げられます。銀行、証券などの場合は、投資部門やM&A部門のニーズが増加しているので、特に会計士税理士の資格を持っている人は引っ張りだこですね。金融商品取引法が施行された2007年は、内部管理体制の強化が至上課題となっている金融機関も多く見られました。そのため、コンプライアンスだけでなく、経理、総務の求人が引き続き増加しており、この状況は当面続くと思われます。ただ、サブプライム問題などの影響から2008年は少し減速するのではないかと思われます。



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コミュニケーション能力は必須

 
───企業がほしがる人材像は?
手塚

やはり第一にミュニケーション能力のある人ですね。元来裏方である事務系、各部署とのコミュニケーションを多くとらざるをえない職種なので、コミュニケーション能力は必須なのです。

───コミュニケーション能力といってもいろいろあると思いますが、
特に必要とされる能力は何でしょう?
手塚

特に重視されるのは折衝力です。いろんな部署の要望を聞き、また指示を出す必要があるので、言うだけでも、聞くだけでも不十分です。うまく現場と話をして落としどころを見つけたり、こちらの伝えるべき部分をキッチリ伝えられる人は高く評価されます。



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大企業は若手、中小・ベンチャーは35歳オーバー
でもニーズ高し

 
───ニーズが集中している年代は?
手塚

企業規模が大きくなればなるほど20〜30代前半の若手が基本で、中堅やベンチャーなどの成長中の企業は若手と平行して30代後半から40代前半までのマネージャーなど管理職のニーズが高いです。

マネジメント経験は35、36歳くらいからあると良いですね。ただ、ものすごくマネジメント経験が問われるかというとそうでもなく、事務系の場合はプレイング・マネージャーのニーズの方が高いです。ただ部下を管理するだけではなく、自分でも現場の作業をきっちりしてくれるような人ですね。例えば経理部門の場合は、実際の事務処理を行っている一般事務職や派遣スタッフを、現場目線でフォローできる人が望ましい。「最後に書類のチェックだけ」という人よりも、自分も現場で手足を動かせる人。今はそういった人のニーズが高くなっています。これは経理に限らず、人事や総務などの他の職種に関しても同じです。

───第二新卒のニーズも増えているのでしょうか?
手塚

第二新卒のニーズは引き続き高いです。基本的にポテンシャル採用なのでとにかく人柄が重視されます。志望動機が、『営業がダメだったから事務系に…』とか『人と話すのが苦手だから事務系に…』という守りや逃げの理由の人は評価されにくいですね。また、事務系スペシャリストの場合は資格の効力も比較的大きいです。未経験で経理を目指したいなら、簿記2級以上、できれば1級がほしいですね。もちろん、半年でも1年でも実務経験があった方が断然有利なのは言うまでもありません。



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今がステップアップ転職のチャンス

 
───相談に来る転職希望者の転職理由はどんなものが多いのですか?
手塚

一番多いのはスキルアップしたいという動機ですね。身につけられるスキルは企業規模の大小、上場企業か否かによってかなり違います。よって、中小から大企業、非上場企業から上場企業へ移って、これまで経験したことのない業務に携わり、経験値を上げていきたいという人が多いのです。

───では売り手市場である昨今では、非上場から上場企業へ、あるいは中小企業
から大企業へステップアップ転職ができる可能性が高まっているといえます
か?
手塚

もちろん人によりますが、特に深刻に不足している若手に関しては総じてそう言えると思います。着実にスキルを身につけ、ステップアップを目指している20代半ばから30代半ばまでの人にとってはチャンスと言えるでしょう。



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業界チェンジも基本的には大丈夫

 
───ある程度の職務経験があって、業界を変えたいと思っている人は
どうでしょう?
手塚

事務系職種の場合は、基本的に異業界、異業種へ移っても仕事的に大きな差はありません。確かに不動産や金融系は特殊な業界ですが、30代前半くらいまでなら問題ありません。40代になると未経験の業界・業種へは行きにくくなってしまいますが、それでも場合によっては全く畑違いの業界の企業へ転職できる人もいます。



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2008年も基本的には売り手市場。しかし……

 
───こういった売り手市場の傾向は2008年も続くと思いますか?
手塚

2008年前半までは確実に続くと思います。後半はまだ何とも言えないですが、私の個人的感覚としては、6、7割の確率で大丈夫だと思います。ただ、全体の求人の伸び率に関しては、2006−2007も確かに伸びましたが、2005−2006年ほどの伸びはありませんでした。おそらく2008年も急激な増加はないでしょう。もちろん現状のような売り手市場がいつまで続くか誰にもわかりませんし、正直5年後にどうなっているかもわかりません。ですので、転職を考えている人にとっては今がチャンスだと言えるでしょう。



イラスト
試行錯誤しながら決めていけばいい

 
───今、転職活動をしている人、これからしようと考えている人へ、希望の転職を
実現させるためのアドバイスをお願いします。
手塚

基本は「やりたい仕事」を輪郭だけでも明確にしておくことです。それがないと動きようがないですからね。しかし最初からはっきりと決める必要はありません。

今はさまざまな求人案件があふれているので、検索をかけたとたんに膨大な求人情報がどっと出てくるでしょうし、キャリアシートを公開したとたんにスカウトメールもたくさん来る人も多いでしょう。しかし、その情報の多さによってブレてしまう人がすごく多いんです。だから、まずは軽く「こんな仕事がやりたい」というレベルで考えておいて、転職市場の状況と自分の市場価値をすり合わせた上で、何回か修正しながら目標を定めていく。こんな感じで段階的に進めていくのが現状では得策だと思います。

おぼろげながらでもやりたいことが思い浮かんだら、業界の市場動向を熟知し、転職者の市場価値を客観的に判断できる我々コンサルタントに相談しに来てください。


 
 
     
編集部からの転職ポイント
 

ポイント1全職種で求人増だが、特に経理・財務職が
増えている

景気回復、企業の業績アップにより、事務系スペシャリスト全職種で軒並み求人数は増加。中でも経理・財務職の伸びが大きい。

ポイント2若手は採用のハードルが下がっている

採用難のため、20代中盤までの若手に関しては多少採用のハードルが下がっている。しかし30代以上の即戦力層は依然企業側の求める条件は高い。

ポイント3金融業界が好調

2007年は業績が著しく向上したため、金融業界の求人ニーズが高まった。しかし2008年はサブプライム問題の影響で減速する可能性が。

ポイント4何はなくともコミュニケーション能力

各部署とのコミュニケーションを多くとらざるをえない事務系スペシャリストに最も求められるのがコミュニケーション能力。特に重視されるのが折衝能力。

ポイント52008年も売り手市場だが求人の伸び率は下がる

現在の売り手市場という状況は依然続くが、求人数の急激な増加は期待できない。下半期は失速する可能性も。

ポイント6やりたい仕事が明確になっていない人でも大丈夫

これから自分が何がやりたいのか明確になっていない人は人材バンクのコンサルタントに相談しに行こう。「こういう方向に行きたい」という方向性だけでもおぼろげながら見えていれば、業界・職種に精通した経験豊富なコンサルタントはきっと何らかのヒントや気づきを与えてくれるはずだ。


アドバイスをくれたコンサルタント
手塚佳彦氏
株式会社日本MSセンター
キャリアアドバイザー
手塚佳彦氏

東京・大阪・名古屋の3拠点にて人材紹介営業、キャリアアドバイザーを経験。コンサルタント歴5年。事務系職種全般に精通しているが、特に経理・財務、株式公開関連職種、税理士・会計士に強い。「転職活動では、多くの情報から自分に必要なものをうまく取捨選択をしていかなければなりません。お困りの際はお気軽にご相談下さい」



 
取材・構成/山下久猛
協力/内藤すみこ
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