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2.転職市場動向
営業職の転職市場動向と今後の予測2007-2008

ここ数年「売り手市場」と言われている求人市場。企業の売り上げを担う営業職に関しても同じなのか。営業職に特化した人材バンクのコンサルタントに話を聞いた。


イラスト
求人数自体が増加しているのではない

 
───2007年、求人数は増加傾向にありましたか?
上島

弊社に限って言えば、求人数の伸びはそれほど見られなかったですね。ただ、今年に限って言えば、ほとんど営業活動をしていない状態でそれでも昨年とさほど変わらない求人の伸びということは、実質的には増加しているという言い方の方が正しいのかも知れませんね。

───巷では売り手市場と言われていますが、それほどでもないんですね。
上島

そもそも求人市場は極端に活況を呈したという感じはしないですね。新聞やテレビでも報道されていますが、活況を呈しているといわれている業界であっても多くの企業が景気が良いと感じているわけではなく、「勝ち組」「負け組み」という形で明確に差が生まれています。「勝ち組」の企業は積極採用ですが、多くの企業は、ギリギリの人員で事業を運営しています。まして、現在「新卒入社組のうち、3年で3割が辞める」という時代ですので、欠員補充という形の方が多いのが事実です。従って、拡張路線で求人数がどんどん増加しているということではないと思います。



イラスト
求職者間にも格差が

 
───ですが、企業はなかなか人が採用できないと嘆いていると聞きますが?
上島

そういう企業が多いのは事実ですが、だからといって「売り手市場」とは言えないと思っています。現在は加速度的に「転職が当たり前の時代」になってきている状態ですので、求職者の数自体は市場に出てきているんです。しかし、企業が求める基準に達している人が少ないのです。ですから、基準に達している人の採り合いになり、当然採れない企業の方が多いので、結果的に人手不足感が強まっているということです。逆に言えば、求職者側も内定が集中する人には10社も20社も集中するが、取れない人は全く取れない。求職者側もいわゆる「勝ち組」と「負け組み」とにはっきり分かれています。特に25歳過ぎから30歳過ぎ頃の層で如実に現れています。

確かに、2005年の後半くらいから転職市場は好転して売り手市場になり、多くの企業が未経験者や経験不足の人でもポテンシャルやマインドを重視して大量に採用しました。ところが結果的にはあまりうまくいかなかった。また、特にインターネット広告やIT系などの競争が激化している業界・業種は、未経験者を取っても育てる余裕がないので、即戦力になると判断できなければなかなか内定を出さないという状況になっています。

───売り手市場とか人手不足と言われていても、誰でも転職しやすい状況である
とはいえないのですね。
上島

ただし、多くの勝ち組の大手企業が採用基準を下げてきているのは事実です。それほど優秀とまではいかない「10年前の普通の人」でも受かるようになっています。特にメーカーなどの製造業で長い歴史をもつ大手企業に顕著ですね。

───「10年前の普通の人」とはどういった人なのでしょう?
上島

大手企業はベンシャー企業を志向するような独立心の旺盛な人よりも、協調性のある人の方を採りたがります。また、大手の中にはここ10年間、新卒採用がうまくいかなかった企業が多い。そうすると中途で採用せざるを得ないのですが、そのときにものすごい実績をもってなくてもそこそこの大学を出ていて素直そうだったら採用しようという傾向になっています。私の感覚では、その採用のハードルが下がっていて、10年前であれば受からなかった普通の人でも転職できる可能性が高まっているということです。



イラスト
広告、IT関連の商社、人材関連などで増加

 
───特にここ最近で求人ニーズが高まっている業界・業種は?
上島

どの企業も営業職は欲しがっていますが、特に広告代理店、IT関連の商社、人材関連など無形の商品を扱う企業でニーズが高まっていますね。メーカーもたくさんは採りませんが、どの会社も確実にニーズがあります。

───そういった業種は景気がいいということですか?
上島

いえ、そうではなくて、こういった業種は営業マンがいないと売り上げが作れないからですよ。また、入社してもすぐ辞めてしまう社員が多いので、慢性的に人手不足となっている側面も強いです。退職理由は仕事がハードかそうではないかは全く関係なく、大手企業に入社しても「とにかくイヤだから辞める」という若者が目立ちます。配属先が気に入らないとかそういった軽い理由です。そもそも新卒で何もかも希望通りなんて、あり得ない話ですけどね(苦笑)。



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自分で考えて自分で動ける人は強い

 
───ニーズが集中する人材像は?
上島

セルフスターター型というか、自立している人ですね。自分で仕事を見つけて、売り上げを伸ばしていくことができる人は強いです。そこまでいかなくても、自分でどうすれば売り上げを上げられるのか、問題意識や目的意識をもって、分からなければ上司などに質問や相談して自分で動いていける人というのはニーズが高いです。どの会社も人員的にギリギリで、手取り足取り教えている余裕がありませんからね。

また、コミュニケーション能力は問われますね。といっても特別な能力ではなく、報告・連絡・相談のホウレンソウがちゃんとできるか。また、顧客の話をきちんと聞いて理解して答えられる、分からないことを質問されたら後で調べてお答えするといったごく基本的で当たり前のことができればOKです。しかし今の若手はこの基本的なことができない人が多いように感じています。

───年代ではどうですか?
上島

企業が今最も欲しがっているのは第二新卒です。同じ20代でも、転職回数が多い20代中盤から後半より、経験は浅いけど転職回数の少ない23、24歳を採った方がいいという傾向にあるようです。企業、特に日本のメーカーは今も昔も変わらず、長く勤めてほしいという強い願望をもっていますから。逆に言うと、転職回数が多い人は確実にはじかれます。2回がマックスで、3回となるとかなり難しくなります。特に若手の第二新卒で2回、3回転職しているとかなり難しいでしょうね。ですので、転職を考える場合は慎重を期すべきです。

───今まで転職市場で一番ニーズが集まるのは即戦力となる20代後半から30代
前半と言われてますが、それよりも第二新卒のニーズが高まっていると?
上島

もちろん即戦力のニーズはありますが、そういう人たちはほとんど市場に出てこないんですよ。企業も優秀な人はなかなか離したがりませんから。出てきても採り合いになっています。その分若手にシフトしていると言えると思います。

ただ、なかなか採れないからこそ、企業側の採用のスタンスも変わってきています。面接のやり方を変えたり、条件をよくしたりと。



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3年勤めている人はどこでもいける
頑張ってきた就職氷河期世代もチャンス

 
───ということは3年間同じ会社に勤めて、平均的な実績を残した人であれば希望
の転職は容易ですか?
上島

そういう人なら業界・業種を問わず、理想と現実の間にものすごいギャップがない限りは、たいていの会社へ転職できます。そもそも20〜30代で同じ会社に3年間勤めている人が珍しいですから。25歳で経験社数が1社だったら引く手あまたです。人材バンクからのスカウトメールも40〜50通ほど来るでしょうね。また、30代前半の就職氷河期世代で、入った会社で頑張ってきた人にもチャンスですね。この世代は企業の新卒採用控えで、社内にあまり存在しませんから。同期が少ない中で頑張ってきてますから、ストレス耐性も強かったりするんですよね。ほぼ希望の会社にステップアップ転職できるでしょう。

───転職回数が多くても希望の転職を実現させたいと思っている人はどうすれば
いいのでしょうか?


イラスト
転職で何を実現させたいかが大事

 
上島

まず自分自身のことを客観的にしっかり見つめ直すことが重要です。これまで会社を辞める際に、物事を自分のこととしてとらえることなく、「○○が××してくれないから」などど、他者のせいにしていませんか? しかし自分の望みを100パーセント叶えてくれる会社などあり得ません。

自分を見つめ直す際に、「何のために転職するのか?」「転職によって何を実現させたいのか」ということを真剣に考えましょう。若い人に面談やセミナー等でお話するのが「転職」ではなくて「退職」ですよということです。今の会社を退職しない限り実現できないことがあるから転職するんですよね。そうではなくて単なる「現状からの逃げ」になっていると、同じ失敗を繰り返してしまう可能性が高い。

転職が手軽にできるのは若いうちだけです。いずれ内定が取れないときが必ずやってきます。そのとき気づいても遅いので、そこはしっかりと説明しています。



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「やりたい仕事」で会社を選ぶべからず

 
───転職を考える際は、自分が本当にやりたいのはどういう仕事なのかを考える
ことも重要だと思うのですが。
上島

一概にはそうとも言い切れません。というのは、「こんな仕事がやりたい」といって入社しても、しばらくして部署異動があったり、会社の方向転換で部署そのものがなくなったりして、希望していたのと全然違う仕事になっちゃったというケースも珍しくないですからね。もちろん、企業の規模、イメージ、給料などの軸で選ぶのはもっとやめた方がいいと思います。

転職先を選ぶ際に一番重要なのは「人間関係」だと思うんです。実際、相談に来る人の転職理由っておおむね人間関係なんです。今の若い人って自分という「コップ」が小さいんですね。ストレスという水を入れるとすぐあふれてしまう。そのストレスの原因はほとんど「人」なんです。そうであれば、今まで生きてきた過程の中で、他人から見てしんどくても、この人とだから楽しくできたということや、部活でも仕事でも、自分と腹を割って話せる人はどんな人かといった「人」で会社を選んだ方がいいと思います。

───ですが、実際に入社してみないとどんな人がいるかわからないですよね?
上島

だからこそ人材バンクがあるんです。人材バンクのコンサルタントは紹介する企業の社長や一緒に働く上司・同僚がどんな人柄なのか、どういう経緯で設立された会社なのかといった社内情報を知り尽くしています。この点が求人広告だけで直接応募する直接転職との大きな違いです。実際、面談に来る求職者も会社概要や扱っている商材や仕事の内容よりも、そこでどんな人が働いているのかを聞きたがります。そこを納得の行くまで説明します。やっぱり仕事は人とするものですからね。



イラスト
2008年も売り手市場は続く

 
───2008年の転職市場はどうなると思いますか?
上島

2007年と大きくは変わらないでしょうね。求人数はもっと増えるかもしれません。少子化はどんどん進む一方だし、企業は意中の人材をなかなか採用できないし、採用できたとしても短期間でどんどん辞めていくという状況は今後も変わらないでしょうからね。

おそらく2008年、2009年くらいには、企業も採用について真剣に考え直さざるをえなくなると思います。企業側の面接官は30代後半以上の方が多いですが、彼らが思っている人材採用の基準における「普通」と現実の「普通」との間にはすごく大きなギャップがあるわけです。現状では、私たちコンサルタントが判断する「普通」では、企業の採用ラインになかなか届かない。企業が採用者数を増やすためには、そこのギャップを理解して埋めようとしなければならないわけですが、それがわかるのが2008年から2009年だと思うんです。だからこれから採用基準の見直しが本格的に行われる可能性があるので、これまで転職が厳しかった転職回数の多い人や書類選考で落とされていた人、さらには派遣やフリーターから正社員を目指している人まで、ここ1〜2年でチャンスは広がるかもしれません。転職を考えている人は、お気軽にご相談にお越しください。



 
     
編集部からの転職ポイント
 

ポイント1売り手市場だからといって、誰でも転職できるわけ
ではない

求人数そのものが大幅に増加中というわけではない。また、確かに人手不足を訴える企業は多いが、採用基準を大幅に下げてまで採用しているわけではない。売り手市場だからといって甘く考えていると失敗する可能性が高い

ポイント2自立型人材とコミュニケーション能力のある人材に
ニーズが集中


企業側もギリギリの人員で運営しているので、若手を採用してもいちから手取り足取り教えている暇も余裕もない。成長するために、自分で考えて、自分で行動できる人材を企業は欲している。コミュニケーション能力は、ごく基本的なことがしっかりできていれば問題なし。

ポイント33年同じ会社に勤めればひっぱりだこ

企業は長く勤められそうな人を必要としている。就職氷河期世代で頑張ってきた人にもリベンジ転職のチャンス大!

ポイント4逃げの転職では失敗する

転職理由を他者のせいにしている人は、同じ失敗を繰り返してしまう可能性が高い。転職で何を実現させたいのか、再度客観的に考え直してみよう。その際、人材バンクのコンサルタントに相談するのもよいだろう。


アドバイスをくれたコンサルタント
上島隆司氏
株式会社ジェイック
執行役員
人材紹介事業部長
上島隆司氏

メーカーや通信系企業の営業職、IT企業の事業部長などを経て現職。特にメーカー・広告・IT系の営業職に強い。「私自身、採用側と転職者側の両方を経験しているので、両者の気持ちを理解した上でのコンサルティングができます」



 
取材・構成/山下久猛
協力/内藤すみこ
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